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『――沖田剛(男子3番)、小林良枝(女子5番)、遠野美穂(女子9番)。死亡者は以上だ』

 機械越しだからか、ややくぐもって聞こえてくる三千院零司(担当教官)の声が、会場の

何ヶ所かに設置された拡声器を通じて生徒たちの耳に届いていた。時計の針は午前六時

を少し回っている。一日に四回設けられた定時放送の時間だった。

 

 新しく死亡者に名を連ねたのは、部活が同じ陸上部ということで一緒にいることが多かっ

た小林良枝と遠野美穂、体育の授業中などにうろちょろしては先生にしかられていた沖田

剛の三人だった。午前零時から午前六時にかけて何度も銃声が聞こえてきたが、そのう

ちのどれかが彼らの命を奪ったのだろう。想像しただけでぞっとする。

『続いて禁止エリアを言うぞ。聞き逃しがないようにしっかりとメモしておけ』

 槍崎隆宏(男子16番)は地図を広げ、ペンを手に持って禁止エリアを書き込む準備を

する。

 

『午前七時からA−01、午前九時からC−08、午前十一時からG−02だ』

 A−01は北西の端、会場の隅に当たる部分だった。川に掛かる橋がある。C−08は会

場の北東、G−02な南西の部分に当たる。どちらも建築物や変わった地形になっている

エリアではない。放送では隆宏がいるC−04は入っていなかった。とりあえず、正午まで

はここを動かずに済むということだ。

 必要最低限の事だけを言い、零司の放送はブツンという音を残して終了した。

 

 

 

「残り三十二人か……」

 隆宏は小さくため息をついた。六時間前の放送で一人。今の放送で三人。少しずつだが

確実に、殺し合いは進行している。このまま順当に人数が減っていけば隆宏が生きて帰れ

る可能性が増えるが、それは何だかとても悪い感じがした。自分の身の安全だけを優先

して、他のみんなを見殺しにしてしまったみたいで。

 

 ――そんなこといちいち考えたら、これから先やっていけないだろ……。

 分かってはいるのだが、どうしてもそういう考えを抱いてしまう。クラスメイトからよく頼み

事をされ、NOとは言わずにそれを解決してきた隆宏はクラスの人間ほとんどと関わりを

持っている。それ故に、意識しなくても他のみんなの事を考えてしまう。先程名前を呼ばれ

た三人の名を聞いたときも、教室を背景に楽しそうな笑い顔を浮かべている三人の顔が

脳裏に浮かんできた。

 

 こんな調子ではプログラムで人を殺せないだろう。あまり確証のない話だったが、隆宏

は自分で何となくそう思っていた。殺す側に回るか殺さない側に回るかであれば、自分は

きっと後者になるだろう。隆宏は自分自身で争い事には向いていない性格をしていると

思っているし、殴り合いの喧嘩をしたことだって片手の指で数えるくらいしかない。真神野

威(男子15番)渡良瀬道流(男子18番)とは踏んでいる場数が違う。それに根本的な

問題として、隆宏に支給された武器は防犯ブザーだった。薄くて小さな卵のような形をして

いるキーホルダーのように見えるが、真ん中についている赤いボタンを押すと大音量で

ブザーが鳴るという物である。不審者対策になら効果抜群だが、あいにく今は不審者じゃ

なくて殺人者対策になるものが欲しかった。それでも何かの役に立つかもしれないと思い、

デイパックにからぶら下げている。

 

 

 

 隆宏がいるのはC−04エリアにある名産品館という建物だった。白い壁に紺色の屋根

をした平屋建ての建物で、コンビニを少し大きくしたような造りになっている。特徴的なデ

ザインを取り入れず直線を主体とした作りは、『名産品館』という看板がなければ本当に

コンビニに間違えられそうで、”館”という文字が入っている割には随分素っ気無い作りに

なっている。

 

 玄関前に備え付けられた七段ほどの階段を上がり、正面玄関を通り抜けると地元の名

物である野菜や魚、佃煮やキーホルダーといった、地方のホテルのお土産コーナーで目

にすることが多い商品が所狭しと並んでいた。レジは中に入ってすぐ、左手側の所に設け

られている。レジカウンターの隣にある部屋は事務室で、今隆宏がいるのがこの部屋で

ある。部屋の中には事務用品としてよく見かける大きな灰色の机が四つあり、それが部屋

の中央に四角形を作るような感じで置かれていた。その奥に小さなテーブルがあり、テー

ブルを挟むようにして左に一人用のソファが二つ、右には多人数用の長いソファが置いて

ある。ソファとテーブルが置いてある場所を斜めに左奥に進むと、ガスコンロやポットなど

が置いてある小さな給湯室があった。電気、ガス、水道が止められているのでほとんどの

機能は停止しているが、インスタントコーヒーやお茶などの飲料は豊富に揃っている。

 

 あとは商品倉庫やトイレなどが建物の中にはあった。商品の販売を目的として造られた

施設のため、ベッドなど一般の民家にあるような家具類はほとんど置かれていないが、

数々の食べ物が名産品として売られているのでしばらく食料に困ることはない。比較的、

立てこもるのに適している施設だった。

 

 地図をデイパックの中へ戻し、店内に並べられていた饅頭とスナック菓子をいくつか手

に取って口にした。食料が多いといってもそのほとんどは菓子や野菜類などで、パンや米

などの主食は置いていなかった。やや物足りない感じがするが、こんなにたくさんの食べ

物があるんだから贅沢は言っていられない。

 

 ここの建物には、隆宏の他にも立てこもっている生徒がいる。小柄で華奢な体型の永倉

歩美(女子10番)と、その歩美よりも背が低くて髪を軽く茶色に染めている安川聡美(女子

17番)の二人だ。このクラスの中で最も背が低い生徒と、その次に背が低い生徒としても

知られている。同じく隆宏も背が低いので(男子の中では下から二番目だ)、偶然にも背

が小さい人間がここに集まってしまったというわけだ。

 

 だが隆宏は、この偶然をそれほど不快に思っているわけではなかった。いや、むしろ

心地よくさえ感じていた。

 背が低いため、隆宏はクラスの中にいると見下ろされることが多い。それだけならまだ

我慢できるが、時折頭を撫でられたり、背が低いというだけで子供扱いされるときがあっ

た。彼はそれが嫌で嫌でたまらなかった。

 

 しかしここには、自分よりも背が低い人間が二人もいる。ずっと見下ろされる側に立た

されていた隆宏は、ここに来て始めて見下ろす側の優越感に浸っていた。別に二人のこと

を馬鹿にしているわけではないし、悪く思っているわけでもないのだが――とにかく、誰か

を視覚的に見下ろす、というのは良いものだ。大げさだが、世界が変わった感じがする。

 

 隆宏はホテルを出発してからしばらく森の中に留まっていたが、午前零時に行われた最

初の放送のすぐ後から再び動き始め、そしてこの施設へと行き着いた。正面玄関を始め

として中に入れそうな場所は全て施錠されていたので、この事務室の窓を近くにあった石

で叩き割り、外から鍵を開けて中に入った。

 部屋の中に足を踏み入れた隆宏が最初に見たのは、何の冗談かロケット花火を構えて

りる聡美と、その後ろに控えている歩美の姿だった。

 

 二人は森の中を歩いている時に偶然出会い、どこかに隠れようということで合意して、

この建物の中に隠れていたのだという。聡美の話では、彼女が訪れたときここの鍵は全

部開いていたらしい。無用心にも程がある。後から分かったことだが、聡美の持っていた

ロケット花火は彼女の支給武器である花火セットに入っていた物らしい。ちなみに歩美の

デイパックにはダーツが三本入っていただけらしい。外れ武器なのだろうが、防犯ブザー

よりは使い道がありそうだ。

 

 隆宏に戦う意思は無かったが、そのことを二人に伝えるのはなかなか難しかった。なに

しろ自分は不法侵入者で、これはプログラムなのだから。

 

 

 

「永倉さんと安川さんも何か食べる?」

 そういうわけで隆宏は最初からこの二人と行動していたわけではない。この施設に入っ

てから行動を共にしていることになるが、その間、二人が何かを口にしている様子を見た

ことはなかった。一方の隆宏は二度三度とお菓子を食べている。隆宏は二人に食事を取

ることを薦めたが、それとほぼ同時に歩美が手の平を見せる。

 

「ごめんなさい。私はまだお腹が空いていないからいらないわ」

 私物の文庫本に目を落としている歩美は、隆宏のことを見ることなく、やんわりと断った。

「私もパス。今そんな気分じゃないし」

 聡美も食事を取ることを拒否した。プログラムに選ばれたことで精神的に参っているの

かもしれない。体調のことを考えれば多少無理にでも食べさせるべきだが、とりあえず今

のところはそこまでする必要はないだろう。

 

 ――何だかやり辛いな、この雰囲気。

 名産品館に集まっている三人は普段の学校生活で交流があるわけではない。むしろ、

ほとんど接点がなかったと言ってもいい。

 科学部に所属している隆宏はクラスの中でも目立たないグループの一人だった。歩美

矢井田千尋(女子16番)をリーダー格とするギャル系の女子生徒の輪によく加わって

いた。聡美は静海中学で最大部員数を誇るテニス部に所属していて、学校生活の中でも

同じ部活の人間――例えば宴町春香(女子2番)とか、逆瀬川明菜(女子7番)などと話

をしていることが多い。まさに三者三様の学校生活を過ごしてきている。

 

 特に歩美のことは分からなかった。掴み所がないというか、何を考えているのか分から

ないというか。何を考えているのか分からないというのなら琴乃宮涼音(女子4番)佐伯

法子(女子6番)もそうだが、歩美の持つ不思議さは彼女らのそれとは種類が違うような

気がする。

 

 だがしかし、ここでこんなことを考えていても仕方がない。今のところ歩美は怪しい動き

を見せていないし、もしやる気なのであればそれっぽい素振りを見せていてもいいはず。

下手に考えすぎたり必要以上に疑ったりするのは、かえってよくないだろうし。

 

 

 

 ――さて、これからどうしようかな。

 隆宏は気持ちを切り替えた。最後の一人になるまでプログラムは終わらないのだから、

いつまでもここに立てこもっているというわけにはいかない。禁止エリアに指定されれば

ここを離れなければいけないし、他の誰かがここを訪ねてくる可能性だってある。様々な

事態に対しての対処法を考えておかねば、プログラムの中で生き抜いていくことは難しい

のではないだろうか。

 

 同じ科学部仲間の中山博史(男子11番)はどうしているだろう。彼の両親は愛国心が

強く、博史自身もよく「国のために」と口にしていたが……。

 

 ――まさか、もう誰かを殺しているんじゃないだろうな……。

 考えられないことではない。だが、しかし――。

 

「……クソッ」

 隆宏の口から思わず悪態が出ていた。博史がクラスの誰かを殺している場面が浮かん

できてしまい、それを想像してしまった自分自身に嫌気がさした。やる気にならないと言っ

ておきながら、結局は他の誰かの事を疑っている。一度表れた疑心暗鬼を消すことは容

易ではない。隆宏もまた、プログラムという殺人ゲームの影響を受け始めていた。

 

 

 

「槍崎くん」

 聡美に名前を呼ばれ、隆宏は顔を上げて彼女の方に目を向けた。

「ん? どうかした?」

「しっ。大きな声を出さないで」

 聡美は人差し指を口の前に持ってきて囁き、隆宏がこちらに来るように手招きをした。

彼女のその様子を見て、何か不測の事態が起きたのだと隆宏は察知する。

 

「……何かあったの?」

 聡美が何に気づいたのかまだ分からないが、彼女の言うとおりに小声で会話をすること

にした。

「多分だけど……外に誰かいる」

 それで緊張が一気に高まった。このやり取りと見ていた歩美も事態を察したのか、読ん

でいた文庫本を閉じ、中腰の姿勢になって周囲の様子に気を配る。

 

 名産品館の周囲はある程度開けていて、他のエリアのように木々が視界を遮っている

というわけではない。それ故に、外から誰かが近づいてくればすぐに分かるようになってい

る。しかし隆宏たちは外から見つかることを恐れて見張りを立てていなかったので、近付

いてくる人物を察知することができなかった。

 

 ガタガタッ、というやや大きい音が、はっきりと隆宏の耳に届いてきた。音は正面入り口

の方から聞こえてきた。あそこは鍵が掛かっているので、何かでガラスを壊すなどしない

限り入ってこれないはずだった。

 だが、この部屋は以前に隆宏が入ってきた際、窓ガラスが割られてしまっている。外に

いる誰かがそれ気付けば、十中八九そこから入ってくるだろう。

 音が止み、隆宏は息を潜めて相手の出方を待った。しばらく様子を窺っていると、ざり、

ざり、という砂利を踏みしめる音がかすかに聞こえてきた。

 

「ねえ、早く逃げたほうがいいよ。相手が銃とか持っていたらヤバイし」

 聡美の声には焦燥の色が濃く滲んでいた。彼女の言うとおり、外にいる誰かがやる気

になっていて、殺傷能力のある武器を手にしていたとしたら――。

 

 ――逃げたほうがいいか?

 

 しかし、どうやって逃げる? 自分一人ならまだしも、三人が同時に、それも相手に気付

かれずに逃げ出すというのは難しい話だ。向こうの足音が聞こえるように、向こうからも

自分たちが立てた音を聞かれる心配もある。

 

 となると、どこかに隠れて相手をやり過ごすか、隆宏がここに訪れた時のように仲間に

加えるかだが、それはどちらも賭けの要素が大きい。簡単に選択すべき行動ではないだ

ろう。

「どうしよう、槍崎くん」

 怯えきった表情の聡美と、緊張で強張った歩美の、助けを求めるような視線を受けた。

隆宏だってこの状況を何とかしなければと思っていたが、考えれば考えるほどどうすれば

いいのか分からなくなっていく。思考の底無し沼にハマった気分だった。

 

「――とりあえず給湯室に隠れよう。外の誰かがここに入ってきたらやり過ごして、向こう

の部屋に出て行ったらその隙に逃げ出す。それでいいか?」

 歩美と聡美はお互いに顔を見合わせ、それから隆宏の方を向いてこくりと頷いた。

 

 

 

 外から聞こえてくる足音は次第にこの部屋へと近付いてくる。三人は急いでデイパック

を手にし、半ば床を這うようにして部屋の隅にある給湯室へと向かった。給湯室は窓から

死角になっているので、相手をやり過ごすのであれば他の場所よりも見つからない可能性

が高かった。

 

 しかし、見つからないとも限らない。向こうがしらみ潰しに部屋の中を調べてきたら終わり

だし、商品が置かれている部屋に行かず、ここに留まるという可能性だってある。

 様々な懸念が積み重なり、隆宏の緊張感を限界にまで押し上げていた。血液を循環さ

せる心臓の鼓動が、自分の耳でもはっきりと聞こえてくる。

 隆宏たち三人が給湯室に入った瞬間、部屋の窓が開けられる音が聞こえてきた。それ

でまた隆宏の心臓がドクン、と高鳴った。

 

 続いて誰かが床に着地する音、窓が閉められる音が聞こえてきた。侵入者の足音も聞

こえていたが、三、四歩動いたところで聞こえなくなった。部屋の様子を確認しているのだ

ろうか?

 

 あまりの恐怖と緊張で隆宏の身体は硬直していた。神話に出てくるメデューサという女

性に睨まれると全身が石になってしまうらしいが、今の隆宏はまさにメデューサに睨まれ

てしまったかのようである。それは隆宏に限ったことではなく、歩美と聡美にも言えること

なのだが。

 

「――なあ、ここに誰かいるんだろう? 隠れているんだったら出てきてくれないか?」

 ここで初めて侵入者が声を上げた。どうやら男子生徒のようだ。

 いや、それはとりあえずどうでもいい。今問題なのは、自分たちがここに隠れていると

いうことがバレてしまったということだ。隆宏が心の奥で危惧していたことが現実になって

しまった。

 

 隆宏の頭の中は焦燥感でパニック寸前に陥っていたが、柔らかな口調で話を続ける侵

入者のおかげで抑えていられることができた。

「俺に戦う気はない。本当だ、信じてくれ」

 隆宏は後ろにいる歩美と聡美の方を振り返った。侵入者の声は彼女たちにも届いてい

たらしく、複雑そうな表情を浮かべている。やる気が無いということに対して安心している

のだが、それを信じていいのかどうか分からない、といったところだろう。

 判断を決めかねていると、歩美が「大丈夫なんじゃない?」と声をかけてきた。

「あの声、鈴森くんの声よ。彼なら信用できるんじゃないかしら」

 

 それで、隆宏は聞こえてくる声が鈴森雅弘(男子8番)のものだということにようやく気が

付いた。主流派グループの一員で、すらっとした体型に加えて顔も良いので女子生徒の

人気は高い。口だけのお調子者というイメージが付いているが、積極的に殺し合いに参

加するような印象は無い。

 

 隆宏は給湯室からそっと顔を覗かせ、事務室の中の様子を見た。部屋の中央、ちょうど

事務用の机の前にデイパックを肩から提げた男子生徒が立っている。パーマをかけたよ

うな癖っ毛の髪に黒縁眼鏡。外見の特徴も一致する。歩美が言ったとおり、侵入者の正

体は鈴森雅弘に間違いなかった。戦う気がないということを示しているのか、両手を頭上

に伸ばしてホールドアップの体勢をとっている。

 

「確かに悪い奴ではなさそうだけど……大丈夫なのか?」

「ボディチェックをして、何か危ないものを持っていたら私たちが預かればいいじゃない」

「そっか。じゃあ、安川さんはどう思う?」

「え、私? 私は永倉さんが言うようにすれば問題ないと思うけど。どっちにしろこのまま

放っておくわけにもいかないでしょ?」

 

 確かに、ここまできたら雅弘をやり過ごすことなど出来るはずがない。彼を仲間に加え

るかどうかまだ分からないが、雅弘との接触を避けることはできそうになかった。

「分かった。じゃあ俺が鈴森と話を付けてくるから、二人はそこでじっとしていてくれ」

 隆宏は立ち上がり、事務室にいる雅弘のもとへ歩み寄っていった。万が一の事を考え、

その手にはスチール製のやかんが握られている。いざとなったらこれを雅弘にぶつけて

やるつもりだった。

 

 

 

「手を上げたままでいてくれ、鈴森」

 そう言って事務室の中へと戻っていくと、雅弘は隆宏の姿を見て微笑み、「元気だな」と

言ってきた。

「鈴森は一人でここに来たのか?」

「ああ、俺一人だ。そっちはお前一人か?」

「――まだ言えない。まずはボディチェックが済んでからだ」

「それは別に構わないけどさ。ところでお前、何でそんなん持ってんの?」

 雅弘が言っている”そんなん”とは、隆宏の右手に握られたやかんのことである。それに

気付いた隆宏は顔をわずかに赤らめ、「う、うるさいな!」とついつい大声を上げてしまう。

 

「武器が使い物にならないから、ここにあった物を持っているだけだよ」

「ふーん……でもお前、いくらなんでもやかんはないだろう」

 余程おかしかったのか、今度は肩を揺らして笑い始めた。反論しようにも言葉が見つか

らず、隆宏はげんなりとしながら溜息をついた。

 

【残り32人】

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